石の舟、或は石の柩

遺跡の真下に埋められていた

それは舟の形をしていた
今も残る内壁の紅が
弔いの心を今に

筋交い模様の木の舟で
何処から来て
何処に居たのか

冷たく重たい石の舟で
何処から来て
何処に行くのか

毎夜この舟の中で
眠りに落ちたなら

目の覚めぬ日がきても
何も気にすることもあるまい

他に何も欲しくはないが

何か欲しいとするなら
空になったこの柩が

空に向かうこの舟が
もう、蓋をする人のない
この舟が