美しい歌が流れる

私は彼のかばんの中の
空の香典袋三枚を思い出す

素晴らしい歌が流れる

母をあやめると
言ったあなたを思い出す

希望に溢れた言葉が流れる

お前の家はもうないと
お前自身が、もういない人なのだから

だから帰ってくるなと
動物のように狩られてしまえと
さまよった7月が浮かんでくる

覚えていたくないことを
覚えているけれど

これは、本当に強く強く感じたことなので
石に刻みついたように
まだ消えていない

残念だけれども