心の水族館

心の水族館に
魚が泳いでいる

間近で私は
それを眺めている

その魚の名前を
その魚の思いを
その魚の来歴を

私は知らない

手を入れて触れば
水槽は濁り
魚はいずれ死んでしまうだろう

私のシヤツは生臭くなり
太陽でかわかしても
元には戻らない

お魚も私を見てる

お魚の本当の気持ちを
お魚のこの先の行方を
私のこの先の行方を

私には分からない

じっと、じっと
お魚をみてる

海が降って来ればいいのに
この分厚いガラスが
消えてなくなればいいのに

そんなことを夢想しながら

蝉は泣きつづける
音楽はなりつづける
アスファルトを熱気つづける

心の水族館

眺めるのに疲れて
お昼寝をする

さあ、この暑さ
人並みができない

多分私も
ケースの外から
鑑賞されている